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【Vol.011】 August.16.2022
こんなとこにも!テープを使った名品
『ガダバウトチェア』

テープって暮らしにどう使われていて、どんなふうに役立っているの?と感じることがあると思います。この記事はそこを出発点として、日々の楽しいシーンで活躍する〈テープを使った他社の名品〉を、テープメーカーであるわたしたちが(勝手ながら)考察していこうというものです。

題材に選んだのは、およそ60年にわたり愛され続けているキャンプチェアの名品『ガダバウトチェア』。1960年代にイギリスのマクラーレン社が発表し、以降アウトドアシーンで圧倒的人気を博しながらも生産を終了。今では入手困難な逸品です。

考察の語り手は、本橋テープで30余年のキャリアをもつ藤田さん。プライベートではキャンプや山登り、自転車が趣味のアウトドア派。山の木を拾ってイスを作ったりと木工も得意です。

「肘掛けになっているこのテープを見たとき、あぁなるほど、さすがだな、と感心しました。まず強度。たくさんの糸を使った高密度テープなので強度が抜群。そして包まれるような座り心地は、テープが座面の裏にもしっかりと回っているからじゃないかな」と藤田さん。

「あと、たたんだときにテープがピンと立つのも素晴らしいです。テンションの張っていないテープだとぐにゃっとなってカッコ悪いけれど、これはとても美しい。テープ業界の人間からすると、“テープを見せてくれたチェア”だなと思います」

藤田さんの見立てによると、テープの織りは一般的な平織。袋綴じにして厚みを出し、もしかすると中に芯を入れて張りを出しているかもしれないとのこと。いずれにしても、機能と見た目のバランスが秀逸。

「そして何といっても布の染色が見事です。テープも染めの技術が問われますが、この味わいを出せる染色屋さんはすごいです。こういう確かな品質の商品に触れると、テープを使ったキャンプチェアを作ってみたくなりますね」

テープを編んで作ったキャンプチェアが近々誕生するかも…?乞うご期待!