Feature articles
【Vol.018】 March.2.2023
なめらかな切り口、多様な切り込み
自慢の技術「超音波加工」

「テープの切り口をなめらかにできますか?」「テープとテープを溶着したいのですが…」といったご相談をいただくことがあります。

超音波加工技術を用いれば、カット面をやさしい手触りにしたり、糸を使わずにテープをくっつけたりすることができます。

今回は、あまり知られていない「超音波加工」についてご紹介します。

超音波加工とは、超音波振動で微量の熱を生み、そこに圧力をかけることで、「カット」「穴あけ」「溶着」を行なう加工技術のこと。

超音波をテープに伝えるホーンは1秒間に1.5万回振動し、下に配置する金型を変えれば、いろいろな形に加工することができます。

たとえばこの腕時計バンドの、バックルの棒を通す部分の〈切り込み〉、折り返し部分の〈溶着〉、バンドを締める部分の〈小穴〉、先端の〈Rカット〉は、すべて超音波加工によるものです。

テープの切断でよく使われる機械に、ヒートカット機というものがあります。これは熱で溶かしてカットするため、切断部が溶けて硬くなるのが特徴です。その状態を“バリが出る” なんて表現します。ある程度自動化できることから、一度にたくさんのテープをカットできるのが利点です。

一方、超音波加工機はテープを溶かさずにカットするのでバリが出ず、気持ちのいい手触りに仕上がります。手作業でのセッティングが必要なことから時間と手間はかかりますが、その分、繊細に仕上げることができます。

切り口のなめらかさと、形の多様さが特長の超音波加工は、肌に触れる製品や、デザイン性を重視する製品に向いています。

これまでに、おしゃぶりクリップなどの赤ちゃん用品や、アウトドアブランドのお箸ケースなどを超音波加工で仕上げました。

また、超音波加工はテープを汚さないので、白さを求められる医療系製品も超音波加工で仕上げることが多いです。

超音波加工と合わせて、金具やスナップボタンなどの部品付け、ミシンによる縫製、ハンダゴテによるリング加工なども得意です。

当社で最も加工の工数が多い製品が、こちらの馬具。複数の加工をほどこし、立体的に仕上げることもできます。

超音波加工技術を使えば、テープの可能性が広がります。四角、三角、円をはじめ、星型やキャラクター型に切り込むことも可能です。

テープにこんな加工できますか?というご相談は大歓迎です。私たちもいろいろな加工に挑戦したいと思っていますので、どんどんお寄せください。加工グループ一丸となって対応いたします。